楽しむ、学ぶ、味わう、実り多い収穫体験

2025.11.05

ライター写真

保育園運営
香取正樹

今年2回目のキッズファームの収穫体験も多くのご家庭で賑わい大盛況でした。
あいにくの雨模様で、園児の到着ギリギリまでは雨脚が強く収穫体験の実施も危ぶまれましたが、バス到着時には小降りに変わり少し晴れ間ものぞいて、キッズファームの畑や森の緑が鮮やかに美しく色づきました。
バスから降りて農園に一歩足を踏み入れた瞬間から、子どもたちの表情は一気に輝きます。土の匂いや感触、虫や草花を見つけて歓声を上げる姿に、自然を体感することの大切さを改めて感じました。

  自然の力を感じて ― 農家さんから学んだ“土づくり”と“いのち” ―

収穫体験は農家の方の案内で、無農薬の畑での芋掘り、畑の土を作る堆肥場の見学、無農薬の田んぼ探検と続きます。
メインイベントは、さつまいもの芋掘りです。長年かけて改良された畑の土はふかふかで、通気性、水はけ、水持ちがとてもよく、土砂降りでも水たまりができません。
子どもたちは土を踏みしめながら感触を確かめ、その柔らかさに驚きの声を上げていました。
案内してくれた農家の方から「この畑は化学肥料や農薬に頼らず、自然の力を最大限に活かして作物を育てています。自然の素材から土を作り、虫や病気と上手に付き合いながら育てていますので手間も時間もかかります。
その甲斐あって、ここでできた作物は、美味しさ、甘み、栄養価が桁違いです。
これが自然と共に生きること、本来あるべき農業だと思っています」とお話を伺いました。
その言葉に、保護者の方々も我々スタッフも深く頷かされました。

土にふれて学ぶ、実りのありがたさ

子どもたちは一生懸命に小さな手でさつまいもの株を掘っていきます。
掘り進めて10~15分でようやく芋全体が現れ、一株に10本ほどの大きなさつまいもがつながっています。
その重さ、大きさ、形に驚き目を輝かせ、「すごーい」「うぉー!」「△□×!!」と言葉にならない感動を叫ぶ子もいました。
さつまいもは、1人一株ずつ持ち帰っていただきます。
栄養と旨みぎっしりの畑の恵みをご家庭で味わい、ご家族で収穫体験を楽しく振り返っていただければと思います。
収獲体験の様子
みんな芋ほりに夢中です

収穫したお芋たち
一株の見事なお芋たち

自然の姿にこそ、本当の豊かさがある

芋掘りの最後に農家の方から教えてもらったお話がとても印象に残りました。
「無農薬の畑は、農薬を使わないため小さな雑草がたくさん生えています。一見すると整備されていない荒れた畑のように感じます。一方、一般的な畑は、化学肥料や農薬を使い多くの雑草や虫を殺してしまうため作物以外は何もなく、一見すると綺麗に整備されているように感じます。ところが、普段見慣れている一般的な畑の“綺麗さ”がどれだけ不自然なことなのか、大切な微生物や栄養も失っているのか、うちの畑と隣の畑を見ればわかるでしょう」と言って、芋掘りを行った畑と、その隣の化学肥料を使った畑を指さしました。
芋掘り前ならば、その土の豊さに気づくことなく、荒れた農地としか思わなかったでしょう。
一般的な畑の不自然さに気づくこともなかったでしょう。
畑を探検する親子たち
生きた畑は、ふかふかな土の周りに雑草が生い茂っています


すべてのプログラムを終えてバスに乗り込むときには、泥だらけになりながらも子どもたちは皆良い笑顔で充実した表情です。
収穫体験を通して、食べ物がどのように育ち、どれほどの手間と愛情が注がれているのかを実感できたことは、子どもたちにとって大きな学びとなったことでしょう。