大空と大地のなーさりぃの畑に広がる食育の輪っか

2025.09.24

給食運営 鳥居美由紀

給食運営
鳥居美由紀

こんにちは。
はじめての「畑のおたより」ということで、今回はここまでのキッズファームの歩みをお話できたらと思います。

大空と大地のなーさりぃに畑ができたのは2021年初夏のこと。 私は大空と大地のなーさりぃの子どもたちに野菜を知ってほしくて、おいしい野菜を作ってくださる農家さんをこの年の春に探し始めました。

出会ったのは千葉県山武市にある齋藤完一さんの畑。

完一さん
完一さん

畑探しは時間がかかると思いましたが、とんとん拍子に進みました。
いくつかの候補地の中から最初に訪れたのが千葉県山武市にある齋藤完一さんの畑。大空と大地のなーさりぃが大切にしている保育方針と完一さんの野菜に対する考え方や想いに重なる部分を感じ、「ぜひ、この方にお願いしたい」と強く思いました。

このときはまだ、たくさんの人がこの場所について語る日が訪れ、私自身、こんなに思いを乗せて進み続ける日が訪れるとは想像していませんでした。

野菜を育てることと自然との距離

「明日、さつまいもの苗を植えるよ」
お野菜を作ってもらうことが決まってすぐのことです。
提携農家となってくれた完一さんは、当たり前のことのように時期をみてさつまいもの苗を植えてくれていました。
苗を植えてから数日後、私は、さつまいもの苗がどんな形をしているのか、どうやって植えるのか、植える時期と期間があることをわかりもせずに、この畑を“キッズファーム”と小さな声で呼びながら、視察にいきました。

さつまいもの苗
さつまいもの苗

改めて土の柔らかさや畑の香りに驚きつつも、内心、いつどんな虫が目の前に現れるのかとハラハラ、ドキドキしていた記憶があります。
私と自然との距離を感じた瞬間でもありました。

「私が全身でこの“キッズファーム”に飛び込めたら子どもたちと野菜が近くなるのかな」と感じたことは、毎年変化しながら積み重ねていくきっかけになったと思います。

季節の巡りと野菜、子どもたちの変化。 

2年目には季節の巡りと共に植えた野菜が変化していく姿を見ることができ、大人になってもまだまだ知らない世界があることに感動しました。
私は畑に行く度に、“大きな箱に畑ごと詰め込んで”保育園に送る方法を考えるようになりました。
虫が苦手な私もこの頃には触れる虫が増えていて、自分でも驚きました。

3年目、大空と大地のなーさりぃには完一さん、畑や野菜のことが好きと話す子どもが増えていました。
子どもたちから完一さんや収穫の話が出ることで、パパやママたちも知るようになり、親子で畑を訪れ、さつまいもを収穫する体験会を開くことができました。

さつまいもの収穫
さつまいもの収穫

子どもたちが「見て」「感じて」「話すこと」に、パパやママたちの知らないことがたくさんあったのかなと思います。
私は完一さんの畑でこれまで知らなかった世界と出会い、土にまみれながら、子どもたちに伝えることができるようになってよかったと思っていましたが、子どもたちも自身が見た世界を周りの人に伝えてくれた、それが3年目のことです。

子どもたちに届く、給食としての野菜と規格外の野菜

4年目、季節ごとに完一さんのお野菜は、“ありのままの姿で大きな箱に詰められて”大空と大地のなーさりぃに届き続けています。

また、日々の給食食材として毎日、給食室にも届きます。
給食を食べながら、完一さんや畑とのふれあいを毎年積み重ねている先生と子どもたちは、小さなお野菜や不思議な形のお野菜も大切にしてくれるようになりました。小さなお野菜は“赤ちゃん野菜”として、不思議な形のお野菜は“お友だち”として受け入れてくれるようになったのです。

キッズファームとして、私たちができること

2025年、大空と大地のなーさりぃにできた畑には野菜の栽培と収穫の時間、子どもたちの日々の時間を大切に積み重ねる“食育の輪っか”が広がっています。
子どもたちのためにたくさんのおいしいお野菜を作り、季節の巡りと共に毎年色々な変化と気づきをもたらすこの畑は、たくさんの子どもと大人が訪れ、食や自然、環境の会話が生まれる“キッズファーム”という場所になったのです。
畑は野菜を作る場所です。
これからも私たちのキッズファームは、おいしいお野菜と共に子どもたちの未来につながる食育のお話を発信していきます。